遺言書がある場合
遺言には特殊なものを除くと以下の3つに分かれます。
- 自筆証書遺言
- 秘密証書遺言
- 公正証書遺言
秘密証書遺言は使い勝手がよくないので、自筆証書か公正証書(公証役場という役所みたいなところで作る)によるものが多いかと思います。
最も手軽なのは自筆証書遺言です。
自筆証書遺言というのはつまり、自分で何かの紙に書いておいてくものです。
又、何度でも書き直しができます。
ただ、遺言は厳格な形式性を要求しており、そこから外れた書き方だと、なんと無効になるのです。自分で書いたものの8割が無効であると言われており、事実、何度も無効の遺言を目にしたことがあります。
自筆証書遺言は、本当に亡くなった方が書いたということもチェックする必要があります。
こういった不安定なところのある遺言書なので、公的な文書として使うには、これだけでは法律は抵抗を持っています。
そこで、家庭裁判所に遺言書の確認をさせます。これが遺言書の検認です。
この検認手続きを経ていない遺言書は、法務局もどこもそれを元に手続きさせてくれません。
遺言書を使うには、検認手続きが必要なのです。
自筆証書遺言の遺言書検認の申立手続き
検認というのは、裁判所で遺言書のチェックを受ける手続きです。
お亡くなりなられた後に、相続人が手続きをします。
公正証書のような場合、既にチェックが入ったものですでの、検認手続は要りませんが、自筆で書いた場合は、裁判所の検認というチェックを受けないと、法務局などの各種機関は、その遺言書での受付をしてくれません。
検認の手続きは、申立書を作成し、亡くなられた方の戸籍の一切と亡くなったところの住民票を提出する必要があります。
裁判所は、申立を受けると、相続人全員に呼び出し状を送ります。
検認手続きをするので、相続人の皆さん、集まってくださいという趣旨です。
但し、相続人がみな参加しなければならないわけではなく、申立人が行くだけでも手続きは可能です。
裁判官が確認した後、検認証明書をつけてもらい手続きは終了します。
手続き自体は、通常2,3分で終わります。
遺言書の封筒を開けてしまったらどうなる!?
遺言書の封筒を開けてしまっても、遺言書の効力が無効になったりはしません。
但し、封がされており、さらに封筒に印が押されている場合は、検認手続きまで、開けてはいけません。
いわゆる「封印された遺言書」というもので、勝手にあけると、5万円以下の過料が付されることがあります。(罰金みたいなものですが、犯罪というのではありません。)
なお、遺言書があると知っているにも関わらず、それを隠したり、手を加えた場合は、相続人の資格を失うことがあります。
公正証書遺言
公正証書遺言は、そのまま使うことができますので、裁判所の検認手続をする必要がありません。
遺言の内容
○○に相続させるという遺言文言の場合、その人のみで手続きをすることができます。
基本的に遺言がある場合は、その記載通りに従って、遺産を分けることになりますが、相続人全員が合意した場合は、遺言の内容にかかわらず、その合意にて遺産分割が可能です。
(遺言に遺産分割の禁止や、後記の遺言執行者がいない場合。)
ですので、遺言があるものの、検認をしないと使えないという場合、同じ内容で遺産分割協議で分けてしまうというのも手です。
遺言執行者がいる場合
遺言執行者がいる場合は、遺言と異なる内容にすることはできません。
但し、相続させる旨の文言の遺言の場合は、すでにそれで遺言執行が終わったと考えられ、相続手続き自体は、相続させる旨で相続を受けた人、単独で手続きが可能です。
相続させるという文言で、遺言執行者が手続きをしないといけないパターンは、誤って、別の内容で動かしてしまったような場合です。(例えば遺言書に気づかず、遺産分割してしまった場合)その場合は、遺言執行者が遺言に従ったものになるよう手続きをすることになります。
なお、レアケースですが、遺言執行者がいる場合でも、相続人全員による遺産分割で分けることについて、遺言執行者が同意した場合も遺言によらずに遺産分割できるとされています。
相続登記のみで済む場合の手続き
(相続人に行方不明者や未成年者、相続放棄した人がおらず、遺言もない場合)
・それでも、シンプルなものから複雑なものまで。
相続登記も千差万別です。
・マンション、一戸建て、畑や田、山林など。
遺言書が出てきた場合の相続手続き
・遺言検認申立(自筆証書遺言は裁判所でチェックしてもらわないと使うことができません)
・遺言執行者がいる場合の手続き(遺言執行者がいると手続きが変わる場合があります。)
相続放棄
・そもそも相続しないという手続き。
いわば、元々相続人でなかったことにします。
・借金を相続しない為の手続きです。
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